フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

さよならチック・コリア

チック・コリア&ゲイリー・バートン・イン・コンサート

チック・コリアが亡くなったとのニュースを知った。え、まだそんな年ではないだろうと驚いたが、ガンと闘病していたらしい。ミュージシャンは、その音を聴いたり、見たりしたところで本人イメージがロックオンされてしまう。僕にとっては80年代、フュージョン喫茶で聴きまくったころのチックの姿で留まっていたのだ。79歳なら天寿を全うしたともいえるのだろう。とても寂しい。合掌。

 

チックと言えば僕の中ではリターン・トゥ・フォーエバーのチックと、ゲイリー・バートンとのコンビでのチックに尽きる。ソロ作品も素晴らしいのだが、好きなのはグループやコンビでのチックなのだ。特にゲイリーとのコンビネーションが最高であったと思う。写真のチューリヒでのライブ盤は何度聴いたか分からない。心が澄み渡り、汚れが全部身体から抜けていくアルバムだ。

 

偶然だが今日、図書館に予約していたCDが入ったと連絡が来て、そのうちの一枚がチックと上原ひろみのデュエットアルバム、その名も「Duet」(2007年9月ブルーノート東京でのライヴ録音)だった。早速聴いてみた。大御所と新星のコラボレーションは、予想通り美しい織物であった。そう、チックはソロよりも相手とのコミュニケーションで織りなす色彩創造の天才なのだ。

 

上原のアグレッシブなタッチの音色を、余裕で広く受け止めながら、新たな交響を生み出していく。ゲイリー・バートンとのコラボレーションが類まれなる浄化サウンドを生み出したのに対し、上原とのコラボはピアノというサウンドの未来を開いていく意志さえ感じ、浄化というより進化に思えた。上原に次を託しているのだ。彼は世を去ったが、上原が次を開いていく。大丈夫、チックはそう思っているはずだ。