フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

龍子と出逢った

生誕120年 川端龍子展〈図録〉

川端龍子を知った。朝日新聞の夕刊の美の履歴書で「爆弾散華」という作品が紹介されていたのだ。これにショックを受けた。かぼちゃやトマトなどの野菜が突風に吹き飛ばされている。美しいし、実にカッコい。が、その突風の原因は爆弾だと知ると話は違う。描かれたのは1945年8月と知るとさらに違う。

 

これは第二次大戦の終戦間際に描かれたものだという。題名の一部、散華とは戦死を意味し、且つ仏教で花をまいて供養する意味であるらしい。終戦の2日前の8月13日、川端の自宅が爆撃を受け、使用人2名が亡くなった。野菜を育てていた畑も、野菜ごと吹き飛んだ。それらを絵にしているのだ。鎮魂の意味があったのだろう。

 

龍子と書いて「りゅうし」と読む。男性である。彼の絵は会場芸術と呼ばれ、大型であることが特徴だ。数メートルもの大きな作品が多い。テーマも海や合戦、植物、動物、いずれもダイナミックで且つ繊細。そしてどこかユニークに感じる。元々が挿絵画家だったことや、最初は渡米し洋画家を目指していたことも要因かもしれぬ。

 

図書館で作品集を借りてみた。子どもの頃、鯉のぼりの絵描きに憧れて、絵の道に入ったという。なので、鯉の絵をけっこう描いている。いずれも素晴らしい。僕は鯉の絵が大好きだからたまらない。浮世絵の鯉は沢山見たが、龍子の鯉は浮世絵よりも生々しいのだ。大田区に龍子美術館があるので、近々行ってみよう。楽しみ楽しみ。