何か分からないことがあると、取りあえずググる。いつの間にか、これが当たり前の日々となってきた。辞書として、百科事典として、人名録として、頼り切っているわけだ。これでいいのかな、と思いながら、もう後戻りはできまい。確かGoogleは、創業当時、世界のすべてを整理整頓すると言っていたが、その通りになりつつあるのだから。森羅万象が小さな検索窓の奥に鎮座している不思議。
これを否定するというより、使いこなす方に考えようと思う。要は遊ぶのだ、検索で。僕はバスや電車で移動中、見知らぬ景色を眺めるのが好きだ。しかも特に美しくなく、珍しくもないものを見るのが好きだ。例えば、とても客が入るとは思えない、環状線沿いの金物屋、とか、営業しているのか不明な電機会社とか。それらは今どうなっているのか。そして過去、どのような歴史があったのか。さあ、検索だ。
以前はそういった古ぼけた店や会社は検索しても何も出てこないことが多かった。でもさすがに最近は何かしら情報にヒットする。バスから見かけた電線の会社は、ホームページがあった。社歴も載っていて、戦後の創業期から現在までの社史を見れた。一見冴えないビルの会社が、中国にも進出しているのが分かる。特殊な電線の技術で特許も持っていた。いやはや分からんもんだ。興奮する。
愛知の義父のところから車で帰るときに静岡あたりの東名高速の脇に見える鉄の加工工場もググってみた。そうとう年季の入った古い工場だ。想像通り、明治からの工場であった。特殊な形状の冶金の工場だった。社員も募集していた。寮もあった(笑)。あの工場の中に入ることはないだろう。しかしググることで、秘密に触れることはできた。まったく何も起きないけれど、ちょっとだけうれしくなるのは何故だろう?