ワークショップデザイナー講座の同級生A君が、リモートで演劇の朗読を不定期でやっている。A君はプロの30代舞台役者で、演劇ワークショップのひとつとしてネット上で開催しているのだ。僕は演劇に興味があるのだが、まったくの素人。定年を機に何か演劇的なものにチャレンジしたいと思っていたので、このワークショップにはすごく惹かれた。そうか、朗読というのがあったのかと。
Facebookで何回か、A君が戯曲の朗読の誘いをかけているのを見かけた。ワークショップとはいえ、A君はプロの役者だ。そんな彼が主催する会にド素人が参加していいのだろうか。いくたびか逡巡したのちの昨秋、思い切ってA君に素人の参加でも良いかメールしてみた。全然OKとのお返事。ありがたや。素人かつ定年前のオヤジを受け入れてくれるとは。同級生の絆は年齢を越えるのであった。
秋の朗読は別役実の戯曲だった。参加者は僕以外は若き役者さんたちで女性もお二人。戯曲のなかから適当に場面を切り出して、男女ペアで朗読をやることに。いささか緊張したものの、リモートがかえって落ち着かせてくれた。何とかかんとか役を演じ切ると、すごい充実感に包まれた。戯曲中のとある人物になりきることの何と面白きことよ。極悪人にも大富豪にもなれるのだ。たまらん。
先月はテネシー・ウィリアムズの戯曲だった。「熱いトタン屋根の上の猫」などで有名だ。演じたのは戦前の貧しい労働者。荒くれ者を演じるには、ひ弱な僕にはなかなか難しかった。終了間際にA君が「何か読みたい戯曲はありませんか?」と聞いてきたので、思わず「アガサ・クリスティの戯曲」と即答。推理小説が好きなのだ。ほどなく次回はアガサとの連絡あり。ひゃあ楽しみだ。朗読、最高。