ベランダで植物を育てているが、今年のメインは「食べられる野菜」であった。オクラにはじまり、モロヘイヤ、コリアンダー、バジル、最近ではホウレン草を植えてみたりしている。それはそれで楽しいのだが、小さな鉢で、ハーブも2種類育てている。ローズマリーとペパーミントである。ローズマリーは樹木、ペパーミントは多年草だが、どちらも丈夫で暑さ寒さにも強いのがいい。
僕はこの2つの香りが大好きだ。ローズマリーはつんと鼻に抜けて、ちょいとスパイシーなところがたまらない。ペパーミントは清潔で清涼感あふれる香りで、こころ洗われる。この2つがベランダにあれば、ローズマリーは肉料理に、ペパーミントは紅茶やヨーグルトなどのデザートにちょちょいと使えるところも素晴らしい。我が家にとっては、ハーブの中でもマル必の常備品なのである。
ただ、僕の楽しみは違う使い方だ。朝、ベランダの植物たちに水を撒き終わったときに、まずローズマリーの葉を両手のひらで包み込み撫でまわす。そしてその両手で口を覆い、深呼吸する。すると何と言うことでしょう。頭が覚醒し、一発で目が覚めるのだ。さらに隣のペパーミントの葉をひとつまみ。両手でパンっと葉を挟み打つ。そしてまたも口を覆って深呼吸。爽やかすぎる香りで幸福感に満たされる。
嗅覚の情報は視聴覚の情報とは異なり、大脳新皮質を経由せず、本能的な行動や感情、直感に関わる大脳辺縁系に直接届くのが特徴らしい。つまり、香りを嗅ぐと、何の香りかを考える前に感情が動くのだ。あっという間に気分が良くなるのはそのせいである。普段、スマホやPCとばかり接していて、「感じる」ことを忘れてしまう生活になってはいないだろうか。たった一枚のハーブの葉で改善できるのだ、おすすめ。