フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

院の学びがこんなところに

観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか (SB新書)

やっとこさ大学院の論文を完成できた。自分の好きなテーマを掘り下げる作業だったので、実のところ当初考えていたほど辛くはなかった。むしろ、参考になりそうな文献を手探りしているうちに、思わぬつながりを発見できて、ある意味推理小説的な面白さを見いだせて貴重な体験となった。とても学会に発表できるような論文ではないが、自身の成長には間違いなく寄与したと断言できる。

 

論文書きの合間に上記の本を読んだ。話題の本でもあったので読まれた方も多いかと思う。次々とヒット作を世に送り出すスター編集者、佐渡島庸平氏の快著だ。観察力という言葉にひかれて手を伸ばした。紐解かれる「問い→仮説→観察」という思考形式は、大学院での研究形式そのものであり、論文を書いている最中に読んだので、うなずくことばかりでグイグイ読み進めた。

 

また自身の偏見や思い込みを疑って考える、言わばメタ認知についても、昔からずっと関心のあるテーマであった。なかなか悟りは開けないが(笑)。観察という点で、ディスクリプションについても書かれていて驚いた。大学院で、この春から西洋美術史を受講しているのだが、そこで毎回行っているのがディスクリプションなのだ。様々なアート作品を鑑賞し、それを詳細に言語化していく作業のこと。

 

と口で言うのは簡単だが、やってみるといかに自分が事物をしっかり見ていないかが分かる。絵画であれば、キャンバスに描かれたすべての要素を見逃さず、その意味や背景を「冷静」に「科学的」に推測せねばならない。冷静でなく思い込みで、科学的でなく偏見で、とらえがちなのだ。。。佐渡島氏はビジネスの場で、そんな自分勝手な色眼鏡をどこまでも疑い、熟考する。院で学んだ大事なこと、この本に詰まっておった。