フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

アキラさんよ永遠に

NIAGARA CM Special Vol.1 3rd Issue 30th Anniversary Edition

間違いなく日本一であったCM作詞家、伊藤アキラさんが亡くなられた。とてもショックだった。僕にとって一番憧れていたクリエイターだったからだ。伊藤さんの作品を知らぬ人はまずいないだろう。「この木なんの木気になる木」、「青雲」、「パッ!とさいでりあ」、「やめられないとまらない、かっぱえびせん」、「ホテル三日月」などなど。全部、歌えてしまう。数えきれない。

 

なかでも僕が一番影響を受けたのが「三ツ矢サイダー」だ。あの大瀧詠一とのコンビで、1973年、74年、75年、77年、83年とCMソングが制作されオンエアされた。特に70年代の4曲は僕を広告という仕事に興味を持たせるきっかけとなった思い出の曲である。そのセンス、その心地よさ、その斬新さ。たかがコマーシャルなのに、何て素敵な音楽なのだろう、と心を揺さぶった。

 

伊藤さんの詞はシンプルだ。あまりにもシンプルなので、もしかしたら自分でも書けそうではなどと思いがちである。CMの尺は15秒、30秒ととても短い。この短い尺の中で商品イメージを提示し、記憶させ、好感を持ってもらわねばならない。これは至難の技だ。しかもあまたあるCMのなかで、記憶に残るCMソングを作るというのはもはや神業としか思えない。この木何の木気になる木は永遠なり。

 

実は伊藤さんは僕の卒業した佐倉中学校の先輩なのだ。大学生の頃、なけなしの金をはたいて通ったコピー学校で、伊藤さんの講義があった。終了後、思い切って伊藤さんに話しかけた。同じ中学出であること、広告界に進みたいことなどを息を切って話す僕に、伊藤さんは満面の笑みで応えてくれた。あの顔は生涯忘れられない。伊藤さんの足元にも及ばないが、言葉を大事に生きていこう、これからも。