大学に属さない研究者たちの本を読んでいたら、妖怪学を研究する女性が水木しげる氏の本を紹介していた。なかでも、冒頭に出てくる水木氏が唱える幸福の七ヵ条が良いのだと。さっそく図書館で借りて読んでみた。予感どおり、この本、めっちゃ面白かった。本の構成はシンプル。第一部が幸福論、第二部が履歴書、最後にオマケだ。
幸福の七ヵ条を紹介しよう。第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。 第二条 しないでいられないことをし続けなさい。 第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。 第四条 好きの力を信じる。 第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。 第六条 怠け者になりなさい。 第七条 名に見えない世界を信じる。
なんと、自分が日ごろ考えていることにジャストフィットしているではないか。第一部のこの七ヵ条の詳細を読むだけで元は十分に取れるが、真骨頂は実は第二部だ。おなじみの日経・私の履歴書をまとめたものだが、水木しげる氏の人生の面白過ぎること。いや面白いと言ったら失礼だ。大変すぎるのに、全力で面白く変えているのだ。
幼少期から朝は起きられず、小学校は一年遅れて入学。勉強は全然やらず好きなことばかりに夢中になる。進学もできず、就職もままならず。戦争に行けば死にかけ、片腕を失う。波乱万丈すぎる人生だが、それでも日々を楽しんでいる。好き、を力に変えることができたからだ。すごい人である。また一人、お手本を発見できたなあ。