新聞を取る人は減る一方であるらしい。僕はというと昭和オジサンなので、新聞は紙で読んでいる。ニュースならスマホでYahoo!ニュースを見ればいいのでは、というのが多数の声だろう。それはそうなんだが、僕は新聞のニュース以外のところに楽しみを感じるのだ。一番は本の広告である。新聞第一面の最下段に並ぶ小広告などだ。
一ページ以降も最下段に五段という紙面三分の一のサイズの横長広告、またはそれをさらに半分に分けた半五段という六分の一サイズの四角い広告で、多くの出版社が新刊の広告を出している。僕はそれを見るのがとても楽しみだ。文学あり、実用書あり、トンデモ本あり、週刊誌あり。見るたびにワクワクする。
それらを全部読む時間もお金も、もちろん無い。そこで気になったら即、スマホで写真を撮る。勝手に新刊採集と呼んでいる。何日かするとこの写真がけっこう溜まる。その中から時間をおいても気になった本を図書館に予約するのだ。新しすぎると置いてないこともあるが、三か月くらいすればだいたい入っている。
これがスマホニュースだとできなくなる。僕には大きな損失だ。つまり紙の新聞には、記事以外の広告やPR、読者の意見、俳句や短歌の投稿、マンガなど、おいしいネタがごった煮のように存在しているのだ。デジタルがそぎ落とすそれらの「無駄」が、実は無駄ではないことを僕は知っている。宝は紙の中にあるのだ。