フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

1年2組の音

ぼくがぼくであること (角川文庫)

自宅のデスクの引き出しを整理していたら一枚のMDディスクが出てきた。MDディスクって言われても、今の人は困惑するであろう。iPodが現れる寸前まで、音楽録音メディアとして広く普及していた記憶媒体だ。僕はいまでもMDを再生できるラジカセやミニプレーヤーを持っている。とても使いやすく、コンパクトで音質も悪くなかったが、もはや絶滅した媒体のひとつになってしまって残念。

 

出てきたディスクに収録されていたのは、僕が小学生から大学生までの間に録音した生音たち。祖母が歌う声だとか、一人旅したときの街の音だとか。。。僕が子どもの頃は、もちろんスマホはなかったので、映像は簡単には残すことはできなかった。8mmカメラなどは高価で、子どもの手には届かない。ただし、音については唯一、ラジカセさえあれば気軽に記録ができたのだ。

 

小中学校のころ、まさに生録のブームが起きた。鉄道好きな友達は、電車やSLの音をラジカセで録音していたものだ。僕は身近な音を録音して、あとで聞かせて驚かせるのが好きだった。家族の会話とか、クラスのおしゃべりだとか。出てきたディスクには、中学1年のときのホームルームの時間の音が収録されていた。当時、学校に持って行ったラジカセでカセットテープに録音したものを後々MDにダビングしておいたのだ。

 

何十年ぶりに聞いてみる。ものすごい昔の時間であるのに、そこから聞こえてくる瑞々しい中学生の声は、まるでいま現在の時のように感じる。13歳の自分の声は、それが自分自身にはとても思えないほど幼い。当たり前だけれど(笑)。ホームルームなのに、自分も含め、クラスメートは大騒ぎだ。担任の川上先生も怒りながら笑っている。いまの自分のすべての源をこの時間に感じる。アホすぎて、素敵すぎる宝物だ。