フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

気温が下がると思い出す

SELECTION 1978-81(UHQ-CD/MQA)

ずっと聴いていないのに、秋になると聴きたくなるアーチストがいる。僕にとっては、オフコースだ。平均気温が2度下がると思い出す。ふだんボーカル曲はあまり聴かないのだが、なぜか秋になるとパブロフの犬となる。ベスト盤をスマホのSDカードに入れてあるので久しぶりに聴いてみた。

 

数ある彼らのヒット曲のなかで、聴きたいのは三曲しかない。一曲目はまさに「秋の気配」。気温が下がると気づくことがある。別れのときが来たことを(笑)。港を見下ろせる小高い公園なら、なおさら気づくだろう。こんなことはいままでなかったと。気持ちの傾斜と、地形の傾斜と、サウンドの傾斜がシンクロするところが見事なんだよなあ。

 

二曲目は「やさしさにさようなら」。別れの歌なのに悲しくならない。この別れは、成長の糧としての別れと思えるからだ。若さゆえのすがすがしい別れに思えて、今となってはとても青臭く、そしてまぶしい。切ないけれど、どこかユーモラスなメロディが一瞬で自分を学生時代に連れ戻す。

 

そして三曲目。「眠れぬ夜」だ。毎秋、思い出したようにこの曲を聴くが、そのたびに心躍るのは何故だろう。このイントロが原因なのかも。階段を下りていくようなリズムから、歌に入っていく。愛に傷ついた男が、時を経てその愛を思い出し苦しむという、考えてみるとマゾヒスティックな歌詞だが、不思議な高揚感をもたらす。

 

この三曲を一通り聴くと、もう満腹で、食傷気味になる。来年の秋まで店じまい。一年に一度、オフコースとの再会はそれが僕には丁度いい。