フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

一本の線でわかること

ぺんてる シャープペン グラフギア1000 PG1015 0.5mm

僕がデイレクションする、とあるバナー広告の仕事に、E君という入社6年目のAD(アートディレクター)と、T君という入社2年目のCW(コピーライター)に入ってもらいました。通常、平面の広告づくりは、ADとCWのコンビでおこないます。僕もCW出身ですので、昔はよくADと夜半まで仕事していました。そして、よく揉めました。コピーが悪い、いやデザインが悪いと(笑)。

 

いまの若手は喧嘩はしません。みんな優しいのです。その分、仕上がりがあっさりしている気がします。作業がすべてPC内で終わるせいもあるのでしょう。紙とペン、腕と勘。これらを使うことが少なくなっています。例を言えば、直線をペンで書くのは技術が要りますが、PCなら誰もが一発で直線を描けますよね。その線は完璧ですが、どこかつまらないのです。

 

二人には、CMと連動したバナー広告をお願いしました。バナー広告とはWEBサイト上にレイアウトされる小さいサイズの広告です。雑誌広告で言えば、突き出し広告のようなものですね。こういう小さなものは、いまの若手なら小一時間もあれば、さらっとそれなりのものを仕上げます。しかし、その仕上がりは「それなり」なのです。

 

が、今回の二人は、それなり、ではありませんでした。コピーは何度も試行錯誤を重ね、僕への確認も複数回に。どうにかコピーが決まってからも、デザインを粘ります。今日、最終案を見せられました。小さなスペースに、キャッチコピーと社名だけ、という何とも超スタンダードな広告なのですが、なかなかいいんです。お見せできなくて残念ですが、あるデザインに僕はちょっと感動しました。

 

それは、昨日まで施されていなかった、一本の下線です。そう、単なる下線です。キャッチコピーの下に、ある色の線がスッと足されていました。凛として美しい。コピーを俄然引き立てました。デザインの力だ、と思いました。賞を取るような大きさや出稿量ではありません。しかし、このディテールは、必ず密かに得意先のブランド価値を向上させることでしょう。

 

※明日以降、「ですます調」をやめることにしました。書きやすさ、という理由です。最初はちょっと無礼に聞こえるかもしれません。書く内容は相変わらずたわいない日常ですので、引き続き読んでいただけたらうれしいです。