フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

志麻さん側の価値

厨房から台所へ――志麻さんの思い出レシピ31

超人気の家政婦として、いまやメディアで引っ張りだこのタサン志麻さんだが、この人の料理は我が家でも人気だ。僕が言うのもなんだが、うちのカミさんも料理が上手い。どう上手いかというと、無手勝流なのだ。計量して、時間を測って、レシピ通りにつくるのが嫌い。レストランなどで食べて美味しかった料理などを、記憶と勘でささっと作ってしまう。それが美味しい。いつも驚かされる。

 

志麻さんも、近い気がする。テレビで見ていると、レシピを一切語らないのだ。材料を見て、即興で料理を作るケースが多いから、そもそもレシピは準備されていないからかもしれぬ。しかし、うちのカミさん同様、おそらくイメージで創作しているのだと思う。カミさんはよく「ビジュアルでつくる」と言う。まず素材の姿を見て、頭の中にゴールをイメージをして、それに近づけていく。

 

これは絵画や彫刻の制作に近いのではとも思う。僕などはレシピがなければ何一つ作れない。レシピ通りに計量し、時間を測り、工業製品のように作らないと不安なのだ。我ながら、まったくクリエーティブではない。そう言えばカミさんは、電気製品の取扱説明書が嫌いだとも言う。スマホとかも、取説は一切読まず、取り敢えず動かしだす。なので最初は上手くいかないことも多い。

 

僕は取説を読むタイプ。正しく扱えば、正しく動くと信じてるタイプ。そう書いていて、何ともつまらん奴だと自分が思えてきた。まあ、カミさんと僕と正反対だから持ちつ持たれつだ。さて時代は料理に志麻さんタイプを選んでいる。デジタルで効率最優先のいま、偶発的なクリエーティビティが対極として存在することに価値がある。こちらも持ちつ持たれつか。ボナペティ。