フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

10m愛

シンプルな自転車 シルバー 26インチ サントラスト スソ

毎日ほぼ定刻にウォーキングをしていると、いつも顔を合わせる人が何人か出てくる。僕のウォーキングのベース基地である公園では、ベンチに座るとだいたいレギュラーメンバーがいて、勝手にあだ名をつけたりしている。一番良く会うのはミスターレッドだ。なぜレッドかと言うと、ある時は赤いスニーカー、ある時は赤いザック、と必ずどこかに赤いものを身に着けているからである。

 

まあレッドのことはほっておこう。この公園からの帰り道に、障がい者のための福祉作業所がある。障がいのある人たちが軽作業をするところだ。朝、ここのそばを通って帰るのだが、ちょうど作業所の出勤時間らしく、出勤中の障がい者の人たちとよくすれ違う。みんな遅刻せず、定刻前に来ているから感心だ。そのなかで一人30歳くらいの女性とよくすれ違う。で、ある時変なことに気が付いた。

 

彼女の後ろ10mほどに、自転車でゆっくり彼女を尾行する初老の男性がいるのだ。最初は気にならなかった。が、毎回いるので気になりだした。まさかストーカーか? いつも10mくらい離れていて、彼女に声をかけるわけでもなく、追い抜くこともない。で、ある日気が付いた。おそらく男性は彼女の父親だ。障がいを抱える彼女を直接助けることはせず、しかし10m離れて作業所までついていっているのだ。

 

それを知った途端、胸が熱くなった。僕にも娘がいる。幸せなことに健康に恵まれたが、過剰に心配してしまうことが多い。帰りが遅い、誰と一緒か?、どこに行くのか? つい口に出してしまう。それに比べ、あの父親は強い。本当なら一緒に歩いていく方が安全だろう。しかし、それはせず、彼女が気づかない距離にいる。自立を促し、もしものために見守っているのだ。10mの愛には、学ぶことが多すぎる。