忘れるのである。鍵をどこ置いた。財布をどこ置いた。スマホをどこ置いた、と。家の中であるのは間違いないと思いながら、家のどこかかが分からない。自分だけならまだしも、カミさんも、そして娘までしょっちゅう物を探している。年かなと思っていたが、遺伝かもしれぬ。すまぬ、娘よ。健忘症夫婦の子よ。
とくにスマホが困る。もはやスマホ無くして生活できぬほど、どっぷり頼っているのであって、見つからないときは少なからぬパニック状態となる。家族で探して、トイレだったり、クッションの下だったり、ベッドサイドだったり、ザックの中から発見する。何という非生産的な時間であろう。積み上げると結構な量ではなかろうか。
ところが最近、救世主があらわれた。スマートウォッチの端末発見機能だ。僕とカミさんはハーウェイのウォッチを使っているのだが、最近までその機能を知らなかった。ある時、公園でウォッチをいじっていたら、偶然その機能のボタンを押してしまった。するとスマホが叫び出した。「アイム・ヒア～♪」。
ウォッチで発見ボタンのアイコンを押すと、Bluetoothでつなっがったスマホが「ここにおるぞ～♪」と叫んでくれるのだ。偶然知ったこの機能のおかげで、家のなかでの探索は問題なくなった。というか、探索が楽しい。むしろ探索したいくらい(笑)。トイレから聞こえる「アイム・ヒア～♪」が愛おしいほど。平和な一家ではある。
