フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

フュージョン勉強会その14

TUTU<SHM-CD>

前回に続き、帝王マイルスである。そして選んだアルバムは、86年発売の「TUTU」だ。86年頃といえば、打ち込みサウンド全盛期。そこに自ら殴り込みをかけたのが本作だ。全曲、マーカス・ミラーによるプロデュースだけに、当時のセンスの先端が込められている。シンセとマイルスのミュートのバランスは絶妙だ。

 

そして前回の「Man With The Horn」と同様に、一曲目のオープニングがたまらん。いきなりガツンとシンセのアタック連打が来る。そこにマイルスの超クールなミュートが差し込んでくる。何度聴いても、この最初のところで「く~っつつ、カッコ良すぎる~」と思うのだ。昔よく「しびれる」と言ったが、まさにそれだ。

 

六曲目にあのスクリッティ・ポリティの「Perfect Way」が収められている。この曲の入ったアルバムは、シンセポップの名盤として名高く、当時の日本のミュージックマガジンでも絶賛されていた記憶がある。マイルスはリラックスして楽しんでいるように聴こえる。当時はポップスへの関心と取り込みにハマっていたようだ。

 

前回書いたように、彼はジャズフュージョン界のピカソである。どんどん変容し、どんどん先に進む。マイルスを規定するのはマイルス自身だったのだ。このジャケット、写真はアーヴィング・ペン、ADは石岡瑛子だ。完璧である。グラミー賞最優秀アルバムパッケージ賞受賞だ。すべてがパーフェクトな一枚。いいお酒と、どうぞ。