フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

フュージョン勉強会その12

ストリート・ライフ

まずはこのレコードジャケットを見てほしい。まさに今から繰り出す系である。もうギンギンに繰り出す感200%である。味噌汁と漬物で腹を満たす民族では太刀打ちできないエナジーが満ちているのである。白い歯と豊かな髭と広い襟である。もう端から勝負にならないのである。少なくとも学生の頃、僕はそう思った。繰り出す金もエナジーも無い青二才は、ジャケットの時点で怖気づいていたのだ。

 

おそるおそるレコードに針を下ろす。一曲目のStreet Lifeで完全にノックアウトされてしまう。ランディ姐のソウルフルな歌声がカッコ良すぎてついていけない。後に、タランティーノの「ジャッキー・ブラウン」を観ていたら、いきなりこの曲が出てきて鳥肌が立ったっけ。パム・グリアの魅力を倍増させてくれた楽曲だ。悪いことは言わないから、ガキは引っ込んでな。ヤケドするよ的な。

 

僕はフュージョンの歌ものは得意ではない。というか苦手だ。が、Street Lifeだけは別物である。大人の世界にきっちり線を引いてくれる楽曲として、60近くになってやっと落ち着いて聞けるようになった気がするほどだ。それと実はクルセイダーズも、それほど好きではない。Street Lifeのような危ない曲はいいのだが、大半が単に繰り出す感寄りで、イージーに聞こえてしまうからだ。

 

これは本物の大人の遊びを知らぬ日本人の生真面目さのせいだと思う。もう一度ジャケットを見てほしい。二人が笑っている。これがもう駄目なのだ。悪だくみもなく、かといって恐怖もない。つまり余裕を持って、繰り出しているわけだ。僕はクルセイダーズの楽曲全般に、そのある種の余裕を感じてしまって、引いてしまうのだ。唯一、しびれたのがStreet Lifeで、ギリギリ繰り出し感を想像できるからだろう。