フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

タクシーストーリー②

TAXi?(字幕版)

バブル期の連日残業時代、タクシーでの深夜帰宅がつづいていた。当時はそれは決してラクとかではなくて、少しでも眠りたくて仕方なかった。なので運転手から話しかけられると話を早く切り上げたいんだが、なかにはそう簡単には切り上げてくれないひともいて。。。

 

あれは真夏の深夜だった。その日の企画打ち合わせは最後まで激論で、疲れてはいたけれど頭は冴えたままだった。あとで思えばそれがいけなかった。その日つかまえたタクシーの運転手は声が小さく物静かな印象。これはラッキー。家までゆっくり休めるな、と思った。途中までは。

 

走り出してしばらくは会話はなく、お願いしてつけてもらったラジオのNHKから低い語りが聴こえるばかり。うっすら眠りに入ろうとすると、おもむろに運転手が言った。「お客さん、怪談好きですか?」と。まだ頭がグルグルしていた僕はつい「ああ、好きですよ」と答えた。馬鹿である。

 

運転手は前を向いたまま続ける。「いい怪談のカセットがあるんでかけますね」。断る理由は無く、車内に怪談が流れ始めた。ホントは怪談など好きではない。いや嫌いだ。内容は確かにハイレベルな怖さだった。二話ほどが終わったころで家のそばで停車。支払いの時に運転手が言った。「今日、ロシアの田舎にUFOが降りたって、ニュースで言ってましたね」。その日はほとんど眠れなかった。