フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

タクシーストーリー①

TAXi(字幕版)

はるか昔、仕事が終夜営業が当たり前だったころの話だ。連日、企画作業が深夜までつづき、当然帰宅はタクシーということに。もう当たり前のように毎日タクシーで帰っていたわけだが、正直贅沢というよりクタクタだった覚えしかない。

 

座席に着き、行き先を言うと僕は必ずラジオをつけてくれるよう運転手に頼んだ。局はNHKラジオ深夜便である。流行りの曲はかからない。NHKなのでコマーシャルもかからない。地方の第一次産業の話や祭りのレポート、懐メロなどがかかるシニア向けの恐ろしく地味な番組だ。

 

それらに興味があったわけではない。運転手から話しかけられたくなかったのだ。当時はとにかく疲れていて、できれば自宅まで静かに寝ていたかった。ラジオ深夜便はゆったりとした語りで眠りを妨げない。しかもラジオを聴いていると思う運転手は話すのをためらう、と。

 

ずいぶんとこの手で安眠できた。これを思いつくまでは大変だった。生まれ故郷から運転手になるまでの人生を語るひと。タクシー業界がいかに過酷で、いかに暴利をむさぼっているかを訴えるひと。息子の更生と就職について悩みを打ち明け相談してくるひと。いろいろいました。つづきは明日以降に。