フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

あんを出せ

何度でも食べたい。 あんこの本 (文春文庫)

15年ほど前の話。とある仕事で海外のCG制作会社と仕事をすることになった。日本の得意先は期待に胸ふくらみ、早くアイデアを見たくてたまらない。しかしCG制作はそもそも時間がかかる。しかも海外の会社は時間に関してはかなりアバウトである。約束の期日は延長に継ぐ延長で、とうとう得意先担当者がしびれを切らした。「一週間以内に絶対に案を出させろ」。営業は青くなり連絡を取った。

 

一週間後、どうにか約束を取り付けてテレビ会議となった。当日は時差のため早朝の会議室に入る得意先担当者と我々。約束の時間になり、モニター前にはふくよかな30代くらいの女性が現れた。これまでの打ち合わせでは見ていない顔だ。こちらから通訳を通し挨拶をすると、向こうからも第一声が返ってきた。「Hi I'm Ann」。確かにアンだ。アンが出てきた。プロデューサーのアンが。。。

 

これ本当の話だ。アンはなぜプレゼンが遅れているのか、どこがネックなのかを理路整然とチャーミングな笑顔で説明してくれた。おかげで結局その日、案は出てこなかったが、アンが出てきてくれたので得意先も遅延を納得してくれた。アンさまさまであったのだ。前置きが長くなったが、アンが好き、の枕である。写真の「あんこの本」をブックオフでゲットでき、CG会社のアンを思い出したのだ。

 

この本はあんこ好きなら必須のバイブルであろう。日本全国36軒のあん菓子の名店を詳細に紹介している。あんころ餅、大納言、もなか、豆餅、ぜんざい、きんつば、おはぎ、あんぱん、あんドーナッツ、羊羹、あんバター、などなど。ああたまらん。嫌なことがあった日の晩は、寝る前にこの本をそっと開く。そしてひとつ選んで食する妄想をすれば不快は消え去る。案ずるより餡する、なのである。