フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

55号かドリフターズか?

ub11172コント55号と水前寺清子の神様の恋人B2判ポスター

大学院の講義で日本の喜劇映画の授業を取っている。戦後の喜劇映画作品をテーマに、毎週一人の監督にスポットを当てて考察していくというものだ。11月は、野村芳太郎監督の「コント55号と水前寺清子の神様の恋人」(1968年)と渡邊祐介監督の「チョットだけョ全員集合」(1973年)が続き、比較できて面白かった。コント55号ドリフターズと言えば、70年代前後は空前の人気をはくしていた頃であろう。

 

どちらもコメディアンとしては最高峰であるので、楽しみにして映画を見た。が、両者に差を感じたのだ。圧倒的に55号の映画の方が面白い。もちろんギャグのセンスは当時のもので、現代とのギャップはある。舞台設定や社会状況もまったく異なるが、それらは置いていおいてコメディの部分だけを見ると、55号は楽しめて、ドリフは楽しめなかったのである。はっきり言ってドリフ映画はC級だった。

 

やはり、ドリフターズは舞台でこそ輝くと感じた。映画の台本に乗っ取ってギャグを演じても、ちっとも笑えないのである。しかも映画であるので当然ストーリーがある。このストーリーに、無理やりドリフのギャグを入れたところで無理があるのだ。それよりもお得意のショートコントをてきぱきと見せてもらう方が全然いい。また、いかりや長介が特に、演じれば演じるほど痛いのであった。ダメだ、こりゃ。

 

対して55号は素晴らしかった。彼らはコントではなく、人間を演じているからだ。人間の弱さ、駄目さ、インチキ臭さを演じることで結果として笑いの方向に持っていこうとする。そこに無理やり感はない。そして何より「お決まりのギャグ」なんてものを入れてないのが良かった。カトちゃんのチョットだけョ、みたいなギャグは、映画では浮いてしまう。偉大な二組であるが、映画では55号に軍配を上げたい。