長年愛用している物のひとつに写真のトラックボールマウスがある。マウスというと普通はデスク上で動かして操作するものが多いが、トラックボールはその名の通りボールを転がしてカーソルを動かすものだ。僕がトラックボールマウスを初めて見たのは1998年ころ。ロケ撮影でLAを訪れたとき、現地コーディネーターのオフィスだった。大柄なアメリカ人がMacを見ながら手元でコロコロやっていた。
大柄な人だったが、トラックボールマウスも大きくて、ボールがテニスボールくらいだったのを覚えている。直観で「欲しい」と思った。帰国して探してみたもののまだアマゾンも無かった頃だったので、すぐには見つからなかった。数年後、ゲットできたときはミーハー的にうれしかった。狭いデスクでせわしなく動かすより、巧みにボールを操作する方がスマートに思えたのだ。
見栄えはともかく、実際にトラックボールマウスは楽チンではある。カーソルのポジショニングが不安定だという人もいるが、要は慣れだろう。慣れてしまえば、ピタッとポジショニングできるようになる。そしてその操作感が快感になるのだ。なるだけ大きなトラックボールの方が快適だが、LAで見たような大きなボールは日本では見かけない。まあ写真の55㎜のボールで十分に満足できるだろう。
なぜトラックボールマウスは快適なのだろう。思うに、ボールを撫でてカーソルを操る動作に癒されるからではなかろうか。従来のマウスは、カーソルを届けたい位置へマウスで攻め込む感覚であるが、トラックボールマウスは流し込む感覚に近い気がする。とても柔らかで、なめらかな動きなのだ。ペンではなく筆の書き味にも近いかもしれない。これからもずっと使い続ける道具のひとつだろうな。