フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

早口なボギー

マルタの鷹(字幕版)

映画の講義で戦前のアメリカ映画を学んだ。その中で興味深かったのが、フィルムノワールという分野だ。要は探偵小説の世界。犯罪あり、謎の女あり、渋い探偵あり、発砲あり、煙草あり、大都会あり。探偵小説のなかでもハードボイルドに寄った世界の物語だ。一作品を選んで分析せよとの宿題が出たので、「マルタの鷹」を選んだ。1941年、ジョン・ヒューストン監督の作品で、主演はハンフリー・ボガードだ。

 

ボギーと言えば「カサブランカ」しか見たことなかったので、あの主人公リックのイメージしかなかったが、この「マルタの鷹」の主人公・探偵サム・スペードは別物だった。簡単に人を信じないが、女には弱く、でも厳しく、相棒を大事にし、金はしっかり稼ぐ。まさに探偵のプロだ。この映画、元の小説を忠実に映像化しているらしく、結構長い話を1時間40分に納めているので、あわただしい感はいなめない。

 

主人公の探偵リックは機関銃のような速さで長いセリフをしゃべる(笑)。これが見事で感心してしまうほどだ。一気にしゃべって、一気に行動するから、超切れ者に見えて、主人公のヒーロー性に貢献しているのかもしれない。また、フィルムノアールには魔性の女が欠かせない。ファムファタールと言うのだそうだ。男を破滅させかねない「運命の女」と訳すらしい。

 

講義では、その出現に第一次大戦の影響を説明され面白かった。戦争で男性が外地へ出て、その間、女性が仕事につくようになったことで女性の社会進出が始まったのが要因だそうだ。女だってやるときゃやるわよ、の始まりだ。色仕掛け、泣き落とし、裏切り、などなど。しかし後の「グロリア」みたいなイカす女には程遠い。グロリアならボギーに負けないな(笑)。