フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

底まで落ちる快感

東大教授が教えるヤバいマーケティング

24歳のころ、僕は突然パチンコに狂った。ある日、たまたま残業がなく、早い時間に吉祥寺駅に着いた僕は、そのままアパートに帰らずにどこかへ寄りたくなった。駅前を歩いていると、パチンコ屋から騒々しい音が響いている。それまで興味はなかったが、ふと「スリーセブンって面白いのだろうか?」という疑問が頭をよぎった。ちょっと試してみるか。ここから地獄の扉が開いた。

 

ビギナーズラックという言葉がある。初心者が持つ幸運。欲も技量もない素人が、初めてやるギャンブルでなぜか大当たりするというが、僕もまさにそれに遭遇した。初めて座るパチンコ台で、見よう見まねで買った球を打ち始めると、ほどなく画面の数字が3つ揃った。スリーセブンだ。パチンコは一回数字が揃うと、3回ほど連続して当たりが来る。あっという間に数万円を稼いでしまった。つくづく神様は残酷だ。

 

まだ給料も少なかったころ、たった数分で数万円を得た快感は当時の僕の脳を完全に破壊した。これを行動経済学で確証バイアスの一つ「優越の錯覚」という、と写真の本で知った。まず幸運の知覚(自分にはラッキーなことが起こる)を持ち、さらに射幸心(レアなものが当たったときの興奮をまた味わいたい)を覚え、最終的にはゲームスキルへの自信(根拠なきゲームへの過剰な自信)に至る。

 

24歳の僕は神様のいたずらで、最初二月ほど、勝ちを重ねた。しかしその後は負けが積み重なる。それでもやめられなくなった。最終的には負けると快感が走るようになった。ここまで負けても挑む自分がたまらん、みたいな気の狂った快感だ。半年ほどして、けっこうな借金を抱えたところでふとしたことで足を洗えた。その話はいつかまた話そう。マーケの本を読んで、若き日のアホな自分を思い出すなんて。今日はいい日だ。