フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

船が苦手なのに。。。

海の上のピアニスト [DVD]

母方の実家は九州有明海で海苔生産業を営んでいた。したがって一応、祖父や叔父は海の男たちだった。幼いころ、祖父に無理やり船に乗せられ、有明海に連れ出されたことがある。有明海という海はご存じのように、干潟がつづく独特な海で、色も黒っぽくコバルトブルーの海とは程遠いものだ。幼子の僕は、そんな海が怖くて仕方がなかった。そこを無理やり連れだされたものだから泣き出した覚えがある。

 

「九州の男が泣くのは親の死に目だけたい」と祖父は言った。これは無理だなと悟ったのか、九州から関東に引っ越していまに至る。それ以来というわけでもなかろうが、海、そして船が苦手である。乗り物酔い、船だけはしてしまう。昔、カミさんとタイを旅した時、リゾートのビーチでただ海の波を眺めていて酔ったことがあるほどだ。飛行機で墜落するのは諦めがつくが、船で沈没するのだけはごめんだ。

 

そんな僕が、今日、大学院の授業で映画「海の上のピアニスト」を鑑賞した。冒頭からヤバかった。大揺れに揺れる大型船内で、ホール内を動き回るグランドピアノを動くがままに主人公が演奏するシーン。見ていられない。美しい演奏と、まったく揺れを気にしない主人公(ティム・ロビンス)の演奏は素晴らしいのだが、見てる方は三半規管がおかしくなりそうだ。

 

それでも頑張って見続けると、いつの間にか揺れにも慣れ(笑)、ストーリーに引き込まれていった。天才ジャズ・ピアニストとの息詰まる演奏試合。そして淡くせつない恋物語。最後まで船の中で生き抜いた男の結末はここでは語るまい。授業がなければ絶対に見ない映画であったが、見て良かった。あれほど嫌いな船も、こんなピアニストがいたら我慢できそうだ。音楽に酔えば、船には酔わないということか。