フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

目覚まし蝉

クマゼミから温暖化を考える (岩波ジュニア新書)

セミの声がピークになるのはお盆あたりだろうか。よく行く公園では、ミンミンゼミ、アブラゼミの声が入り混じって、オーケストラ状態だ。九州生まれの僕は、いまでもこのミンミンゼミの声を聞くと感慨深くなる。というのも、幼少期を過ごした九州では、ミンミンゼミは見当たらなかったからだ。本に出てくる「ミンミン」というセミの代表的な声は聞いたことがなかった。

 

代わりによく鳴いていたのがクマゼミだ。これは逆に関東ではほぼ見当たらない。日本に生息する最大のセミで、見た目も鳴き声も迫力がある。朝早くから午前中に鳴く習性があるようで、夏の九州ではクマゼミに起こされるというほど、大きな声だった。音は「シャアシャアシャアシャア」といった具合。尋常でない暑さを、この金属音のような鳴き声がさらに加熱させる。爆音である。

 

昭和40年頃の九州。小学生男子の楽しみのひとつはセミ取りだった。この取り方が変わっていて、3メートルほどの竹竿の先にハエトリ用の取りもちを塗りたくり、高い木の上で鳴くセミを接着して捕獲する。取りもちの粘着力は強いので、大きなクマゼミが暴れても逃げることはできない。ちょっとした釣りをするような気分で、小さな子供にはダイナミックな遊びだった記憶がある。

 

小学生で上京したとき、ミンミンゼミの声を聞いたときは感動した。「あ、本当にミンミンと鳴いている」と。その代わりにクマゼミの声は聞こえなくなり寂しくもあった。実は近年、気候温暖化の影響でクマゼミの生息地が北上して関西あたりまで来ているらしい。決して喜ぶべきことではないけれど、ちょっと聞いてみたい気もする。目覚まし代わりの蝉の声、やっぱうるさいか(笑)。