フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

半日村を思い出せ

半日村 (創作絵本 36)

いつだったか誰だったか忘れたが、この絵本を強くすすめる人がいて、いつか読もうと思っていた。が、いつの間にかそのことも忘れていた。年末、とある書評サイトでまた別の人がすすめていて、今度こそ読まねばと、図書館に予約。この年末にやっと読めた。なるほどいい話だった。シンプルなので、小学生低学年の子でも20分以内に読み終えるだろう。しかし、内容は深いぞよ。

 

「半日村」という題名からして引き込まれるではないか。横溝正史かと。村の前にそびえる山が大きくて、半日しか陽が当たらない貧しい村という設定だ。お日様を拝めるのは12時頃からのみ。したがって日照時間が極めて短く、農作物の育ちも悪い。村人たちは、それを運命と諦め、日々細々と暮らしている。ところがある日、一人の少年が小さな行動を起こし始めると、、、。

 

今風の言葉で言えば、ファーストペンギンと言うのかもしれない。誰も試みなかった挑戦に、勇気を持って最初に挑む人間のこと。最初の一歩は周囲から見ると奇異で異常で阿保らしい。誰もが指を指し、冷笑する。しかしやがて二人目が現れ、続いて三人目、四人目と続いていくと、いつの間にかそれは多数派となり、大きな力を生むことになる。「半日村」の話はそれを教えてくれる。

 

年を取るとファーストペンギンになる機会は極端に減る。長年の経験や知識、偏見、癖などが、新しい試みをしようとする自分を停めてしまうことが多い。だいたいファーストペンギンなどという横文字で行動を起こそうとするのがいかんのだ。「半日村」を思い出し、「一日村」を目指すこと。これだ。人生もセカンドステージに入ったいま、少しづつ確実に進むのに「半日村」は勇気をくれるなあ。