フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

シティポップ慕情

「シティポップの基本」がこの100枚でわかる! (星海社新書)

本書では「シティポップ」とは、70年代から80年代にかけて日本で生まれた独自の音楽ジャンルと規定し100枚をチョイスしている。僕は正確には70年代後半から80年代前半、もっと刻むと1977年から1983年までの7年間ではないかと思うがいかがであろう。なので、特に80年代後半以降2021年のアルバムまで入っているのにはかなり違和感があった。影響を受けてはいるのだろうが渦中ではないのだ。

 

本書で取り上げられた100枚のうち1977年から1983年までに発売のアルバムを数えてみると52枚であった。1975年から2011年まで36年間のうちの7年間に52%が集中していることになるわけで、いかにこの7年間が「シティポップ」の熱い「渦中」であったがご理解いただけるであろう。まあ数字はここまでにして、肝心のチョイスだ。おおむね正解なチョイスであるが不満も少々あり。

 

シュガーベイブ、ティンパンアレイ、サディスティックス周りの人選は順当であった。個人的に良いぞ、と思ったチョイスは、伊藤銀次、広谷順子、伊勢正三伊藤銀次の「BABY BLUE」、甘酸っぱい。広谷順子、知らない人多いと思うが隠れた実力派だ。「ブルーレイニーステイション」佳曲である。伊勢正三の「スモークドガラス越しの景色」、これ超名盤。メロウとは何なのか、極めている。

 

残念なのは、次のメンツが入っていなかったこと。村松邦夫「GREEN WATER」。元シュガーベイブのギタリストで大瀧詠一のアルバムにも参加。カラフルな楽曲、好きだった。ムーンライダース系列の松尾清憲「SIDE EFFECTS」。「愛しのロージー」忘れられない。まさにエバーグリーン。上田知華「パープルモンスーン」いい曲だったよなあ。ともあれ、ここまでまとまった本が少ないのも事実。良書です!