フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

中身は何だろう?

壺の中にはなにもない

どこで読んだのか忘れたが、とある書評でこの本が紹介されていて、題名だけでもそそられていたのだが、書評を読み終わる頃には図書館に予約をしていた。題名がやばかった。なにもない、というのはズルい題だ。ないわけがないだろうと勘ぐるに決まっているではないか。しかも表紙のイラストが怪しくも思わせぶり過ぎる。何もないどころか、へんてこりんなものが詰まっている。

 

で、早速読み始めた。図書館から帰ってきて13時ころから読み始めた。すると、止まらなくなった。読み出して止まらなくなり、どうしても最後まで読まずにおれなくなった本というのはここ数年無かったが、この本はそれに該当した。普段はどんなに面白くても、せいぜい半分くらいまで来たら、残りは次のお楽しみにしておこうと考えるたちだ。しかしこの本はそれを許さない力があった。

 

変な話がエンドレスなのだ。何だこの変なストーリーは、と思って読み進めるとますます変な方向に向かう。それを追わずにおれなくなる自分。だが変といっても非現実というわけではない。むしろその逆で、かなりあるあるなのだ。そうそう、こういう変なことが現実社会では毎日起きているのだよな、と相槌打ちながら、ときに笑いながら、次の変な話に引き込まれていく。悪魔のような本。

 

内容は語るまい。1ページ目からもれなく「変」を味わってほしいから。人生は「変」の連続。だから面白い、だから生きる価値がある。そう肯定できる話だとだけ言っておこう。いやはや、こんな作家がいたとは驚いた。本業は劇作家なのだという。どうりで話のテンポが軽快なわけだ。戌井昭人、他にも本が沢山出ている。ゆっくり読んでいこう。変な壺が、まだ沢山でてきそうだから。