フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

半沢歌舞伎

半沢直樹 -ディレクターズカット版- Blu-ray BOX

見てしまうよなあ、半沢直樹。なぜなら歌舞伎だからである。すでにネットのそこかしこで指摘されているとおり、ストーリーの流れ、見せ場、表情の作り、セリフなどなど。何とも上手に歌舞伎を使っている。もちろん配役にも抜かりはない。香川照之を筆頭に、市川猿之助片岡愛之助尾上松也と居並ぶ顔触れ。第三話でまずはストーリー1が完結したが、セントラル証券の社員チームは四十七士にも見えたわ(笑)。

 

今回も「倍返しだ」のキメ台詞は登場しているが、前回より少々立ちが弱い気がする。むしろ、悪役陣のセリフの方がギラギラと刺さるのだ。猿之助扮する伊佐山部長の「お前の負けえぇぇ」など、地獄からの叫びようで最高だった。香川照之に負けてはならじと、全身全霊で悪を演じきった猿之助には拍手喝采である。ラストシーンの苦渋に満ちた詫びのシーンは、香川の土下座を超えたかもしれないな。

 

またこれもネットで評判なのが半沢の妻、ハナを演じる上戸彩だ。ハナと半沢のシーンだけ、歌舞伎ではなくなる。突然、ホームコメディになってしまう。しかし、それは興ざめにはならない。ちょっとしたオアシスのような時間となる。魑魅魍魎との戦いの疲れを一気に回復させてしまうマジックタイムなのだ。これは観ている方も一瞬緊張を解かれ、癒されてしまう。歌舞伎の中休みとして機能している。

 

もう日曜日が待ち遠しくなる半沢歌舞伎であるが、一点だけどうしても腑に落ちないところがある。北大路欣也演じる中野渡頭取だ。前回といい、今回といい、度重なる部下の不祥事に対しての処理が超甘い。前回の大和田取締役も今回の三笠副頭取も、取引先から多額の賄賂を得ていたわけで、普通なら懲戒免職ではなかろうか。が、社内に留め置き、大和田にいたっては役員に返り咲きさせている。これも歌舞伎的解釈なのか???