フンコロ式でいこう!

まあ取り合えずコロコロ転がしてけば大丈夫、かな。

1983年のシュヴィッタース

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クルト・シュヴィッタースという画家をご存知ですか? 20世紀前半にドイツで盛んになった芸術活動、ダダイズムの作家の一人です。僕は高校生のころ、アートへの関心が高く、美大に行きたかったのですが、母子家庭だったので諦めた過去があります。その当時、一番好きだったアーティストがシュヴィッタースでした。

 

大学進学と同時に上京すると、これまでの田舎とはあまりに違って、周囲にアートも音楽も本も映画もふんだんに存在することにとても興奮しました。金は無いけど時間があったので、美大に行けない分、美術展やイラストレーター展などむさぼるように見て回りました。

 

当時は西武グループが文化を引っ張っていた時代。僕が大学3年の1983年の夏、なんとシュヴィッタース展が軽井沢の高輪美術館(現・セゾン現代美術館)で開かれることになりました。もうこれは行くしかないわけですが、軽井沢行ったことありません(笑)。そして金が無い。

 

結局、JR青春18きっぷで行きました。行程をよく覚えていないのですが、いま調べると中軽井沢の星野リゾートより奥にあるんですね。タクシーに乗る金など無かったので、中軽井沢駅から長い坂道を歩きました。そして、やっと出会えたシュヴィッタースの作品たちは、とても涼しかった。目録を買いたかったけれど、高くて買えませんでした。見るだけで充分でした。

 

そして時は流れ、つい先週のこと。中古の美術ポスターや写真集、画集などを扱う東塔堂さんからメールが来ました。「以前、お客さまからお問い合わせのあった、高輪美術館・クルト・シュヴィッタース展目録が入荷しました」

あの夏から36年。巡り巡って、シュヴィッタースは、僕の部屋にやってきました。